エデュケーションプレスは、子育て・教育について便利ですぐに役立つ情報をお届けします。

教育情報メディア エデュケーションプレス



子どもの脳力を伸ばすコーチング術

「ベテラン教師と若手教師の違いって何ですか?〈その1〉」【Vol.2】

HOME > 子どもの脳力を伸ばすコーチング術 > 「ベテラン教師と若手教師の違いって何ですか?〈その1〉」
エピソード2:若手教師編
ある小学校での体育の授業のシーン。
体育館で、男の子が跳び箱に挑戦しています。
何度も何度も走って、跳び箱に何度も何度も手をついて飛ぼうとしますが、
一度も飛び越えることができません。
そばで見ている体育の先生は、子どもにアドバイスを送ります。
「踏み切りに力を込めて」
「手を遠くにつきなさい」
しかし、子どもの表情は、跳び箱を飛ぶごとに曇り、やる気を失っていきます。
そして、しゃがみ込んで、飛ぶことをあきらめようとしています。

 跳び箱、逆上がり、マット運動・・・運動神経に自信があった方にとっては、良い思い出。あまりにできることが普通過ぎて、思い出にすらなっていないのかもしれません。逆に運動が苦手の方にとっては、思いだしたくもない苦い思い出かもしれません。このエピソード2に登場する男の子に共感を覚えているのではないでしょうか。何度やっても、飛ぶことができない。その姿を同級生が見ている。「恥ずかしい」「できない」という気持ちだけが大きくなって、次第にやる気を失って、最後は諦めてしまいます。

 エピソード2の内容は、実は、私が恩師に聞いた質問「ベテラン教師と若手教師の違いって何ですか?」に答えてくださった時のエピソードです。
 ここに登場する体育の先生は、大学を出たての若手教師です。跳び箱の飛び方についてのアドバイスは、的はずれでもなく、手を抜いているわけでもありません。むしろ、ゼスチャーを交えて力いっぱいアドバイスを送っています。なのに、男の子は、跳び箱を飛び超えることができませんでした。皆さん、自分自身の経験を踏まえて考えてみてください。なぜか? 「そりゃ、自分もそうだったけど、運動神経が足りなかったからでしょう。」と思われるかもしれませんが、この男の子、その後すぐに飛べるようになったのです。

エピソード2:ベテラン教師編
あきらめかけた男の子に、ベテラン教師が駈け寄り、一言二言、耳打ちをします。
男の子は、立ち上がり、再チャレンジを始めます。
しかし、一回、二回とチャレンジしますが、やはり飛べません。
ベテラン教師は、アドバイスを送ります。
「さっきより、5センチ、前に手をつけるようになっているぞ」
「さっきより、力強く踏み込んでるぞ」
男の子は、数回のチャンレジの後、跳び箱を飛び超えることができました。

小さな変化や成長は、自分ではわからない。

 スポーツに限らず、やる気が体の中からわいてくる時は、自分の成長を自分で実感できている時だと言えます。タイムが伸びる。計算が早くなる。書けなかった漢字が書けるようになる…などなど。
 しかし、エピソード2では、「飛べる」もしくは「飛べない」という、極端な現実がつきつけられます。その時に「飛べない」ことが続くと、自分の成長を実感できなくなり、やる気がなくなっていくというわけです。

 今回、ベテラン教師は、男の子が、自分で実感できない成長を見て、具体的な言葉にして伝えていました。数センチ前に出ている、少し力強くなっていることは、自分ではなかなかわかりません。男の子は、それを聞き、自分の変化や成長を感じとり、次のチャレンジへの意欲が湧いてきたのです。

「あれ、ちょっと前まではできなかったのに、できるようになっている」

 自分を客観的に見ることは大人でも難しいのに、子どもにそれを望むことは酷です。まわりの大人が、子どもの小さな変化や成長を見て、それを子どもに伝えること。前回、あなたの目の前で子どもが行動している「今」を言語化して褒めることをお伝えしましたが、ここに「以前と比べて」を加えてみてください。「あれ、ちょっと前まではできなかったのに、できるようになっている」と感じることは、実は、想像以上に数多くあります。
 子どもの成長は、大人よりも早いのです。見える部分も見えない部分も。子どもの「今」を見る。子どもを「以前と比べて」見る。普段の生活で、少しだけ意識して、子どもを見てみてください。そうすると、昨日よりも成長した子どもが、あなたの目の前に立っているはずです。

※「エピソード2:ベテラン教師編」の中で、今回ご紹介できなかった、もう一つの大事な言葉。その言葉と、今号でご紹介した「小さな変化や成長を言葉にする」ということ。二つの言葉の相乗効果が、男の子が跳び箱を飛ぶことを可能にしました。
次号では、もう一つの言葉をご紹介する予定です。

佐々木元昭
大手出版社にてプランナー、クリエイティブ・ディレクターを担当。退職後、次代のクリエイターを育てるべく、コーチングの技術を学び「財団法人生涯学習開発財団認定コーチ」を資格取得。また日本で初めて家庭教育を学問化した八洲(やしま)学園大学に入学、生涯学習学部家庭教育課程専攻。卒業と同時に日本家庭教育学会「家庭教育アドバイザー」を資格取得。現在は、若手クリエイターを育てながら、そのノウハウを活かして、家庭で子どもの創造性や発想を伸ばすためのアイデアを思案中。

子どもの脳力を伸ばすコーチング術 一覧へ

このページの先頭へ

 サイトマップ

Copyright (c) Education Press. All rights reserved.