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子どもの脳力を伸ばすコーチング術

「ベテラン教師と若手教師の違いって何ですか?〈その2〉」【Vol.3】

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エピソード3:ベテラン教師編
あきらめかけた男の子に、ベテラン教師が駈け寄り、一言二言、耳打ちをします。
「どうする?ここであきらめるか。それとも、もう一度チャンレンジするか?」
ほんの少し間をとります。男の子は、答えられません。
「先生は、今まで同じような子どもたちを何百人、何千人も見てきた。ここまでできていれば、あともう少しの努力で、必ず飛べるようになる。」
男の子は、立ち上がり、再チャレンジを始めます。
しかし、一回、二回とチャレンジしますが、やはり飛べません。
ベテラン教師は、アドバイスを送ります。
「さっきより、5センチ、前に手をつけるようになっているぞ」
「さっきより、力強く踏み込んでいるぞ」
男の子は、数回のチャンレジの後、跳び箱を飛び超えることができました。

自分で決めることのできる、ストレスに強い子を育てるには?

【1】「どうする?ここであきらめるか。それとも、もう一度チャンレンジするか?」
【2】「先生は、今まで同じような子どもたちを何百人、何千人も見てきた。ここまでできていれば、あともう少しの努力で、必ず飛べるようになる。」

 前回の「エピソード2:ベテラン教師編」の中で、紹介できなかった言葉です。【1】と【2】の言葉には、ベテラン教師の子どもたちに対する「自分で決めることができる子になってほしい」「ストレスに強い子になってほしい」という願いが込められています。これら2つの言葉を組み合わせたり、それぞれを使い分けることで、子どもたちへの効果が変わってきます。【1】と【2】の使い方をパターン別に見て、その効果の違いについてみていきましょう。

(パターン1)【1】のみの場合
 いわゆる精神論に偏った言葉です。「気合を入れろ!」「気合が入っていないぞ!」と同じく、もともと精神的に強い子ども、負けず嫌いの子どもに対しては、効果を期待できますが、逆に弱い子に対しては、単に追い詰めるだけで、どちらを選択しても、強制的に選択をさせられたという恐怖心を残す可能性があります。 

(パターン2)【2】のみの場合
 これは、ベテラン教師ならではの言葉です。成功者をたくさんみてきた経験談というのは、客観性と説得力を持って、子どもたちの心に届きます。「そうか、今の自分でも飛べるようになるんだ!」と。この言葉に励まされた子どものほとんどは、跳び箱を飛び越えることができるでしょう。短期的には、効果の大きいメッセージです。しかしながら、これを続けると、大人や教師のナビゲートやサポートが常に必要な、自分で決めることができない子どもになってしまう恐れがあります。

(パターン3)【2】→【1】の場合
 これは、もう少し頑張れば、飛ぶことができるという答えを先に言ってしまっているので、【2】を聞いた子どもたちは、迷わず、【1】の質問に対して、もう一度チャンレンジすることを選ぶでしょう。さらに、特に小学校低学年の子どもたちにとっては、子ども自身が選択した形にもなり、結果、成功すれば、大きな自信になります。自分で選択したことによる成功体験を数多く積ませるには、最も効果的なコミュニケーションの方法としておススメできます。ただし、やさしく結論に導く方法なので、本当の意味での、自分で決めることができる、ストレスに強い子に育てていくには時間がかかります。

(パターン4)【1】→【2】の場合
 跳び箱を飛べないという目の前の現実。そこに、「どうする?ここであきらめるか。それとも、もう一度チャンレンジするか?」という究極の選択を求められます。子どものストレスは、最高潮に達して、今にも泣きだしそうになるかもしれません。続けても飛べないのでは?という不安と、周りに見られている恥ずかしさが無ければ、ほとんどの子どもたちは、チャレンジし続けたいと思っているのです。その葛藤状態を高めてあげて、ここで、経験談という事実を持って話をします。
  皆さんも経験があるかもしれませんが、スポーツの練習で苦しんだ後に飲む、たった一杯の水のおいしさのように、体全体にしみわたり、そして、次なるエネルギーが湧き上がります。ただし、ほんの少しの間の取り方は、ベテラン教師ならではの経験に裏打ちされた熟練したコミュニケーションの技だと思います。

子どものレベルや成長に合わせて、パターンを変えていく

 上記の4つのパターンですが、子どもの個人差は、あるものの、

  • 未就学⇒パターン(2)で、親がサポート
  • 小学校低学年⇒パターン(3)で、自分で選択、成功体験を重ねる。
  • それ以降⇒パターン(4)で、少しずつストレスをかけていく。

※パターン(1)の2者択一は、内容によっては、とても良いトレーニングになります。精神的に追い込まれた状態で使うのではなく、日々の生活の中で、子どもたちにさりげなく問いかけるのです。たとえば、おやつの時間に「プリンとドーナツどちらにする?」。外出の時に「セーターにする?カーディガンにする?」で良いのです。まずは、単純な2者択一から、子ども自身が自分で選択できる機会をつくってみてはいかがでしょうか。

が目安です。実は、このようにコミュニケーションのパターンを変えていくことで、ベテラン教師ならではの熟練した間の取り方を、親自身が身につけていくことができます。
 また経験談と言われても・・・と思われる方は多いと思いますが、私の経験から言っても、中学生ぐらいまでは、悩みや立ちはだかる壁は、私たちが経験してきたことと、ほとんど変わりません。自分自身の失敗談や成功体験、自分が見てきた周りの人の失敗談や成功体験を、子どもたちに伝えてください。
 大人も子どもも、終わりの見えない努力を続けることはできません。努力の先にあるものを伝えること、そして自分で決めさせること。この2つが、自分で決めることできる、ストレスに強い子に育つ可能性を広げていきます。

佐々木元昭
大手出版社にてプランナー、クリエイティブ・ディレクターを担当。退職後、次代のクリエイターを育てるべく、コーチングの技術を学び「財団法人生涯学習開発財団認定コーチ」を資格取得。また日本で初めて家庭教育を学問化した八洲(やしま)学園大学に入学、生涯学習学部家庭教育課程専攻。卒業と同時に日本家庭教育学会「家庭教育アドバイザー」を資格取得。現在は、若手クリエイターを育てながら、そのノウハウを活かして、家庭で子どもの創造性や発想を伸ばすためのアイデアを思案中。

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